第一部 科学とこころ

当サイトは、人間が物を理解し認識する尺度である科学(主に生理学・物理)を基に制作しております。 人間は、真理・理・摂理(物質や現象)を理解認識する為に人間が設けた尺度により道理を得ています。 従いまして当サイトは絶対的是非を示しているものではなく、科学により蓋然的である と認められた相対的是非を説いた意味内容である事を御理解ください。
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第一章人格形成

自己同一性
第一節自己同一性

人を各個体ごとに分類・区別するとしたら身体的特徴の他に性格・性質が異なる点があげられる。 これは、他の生物から見れば大きく特質する点であり事と共に一長一短であるとも言える。 その大きな要因が理性であり理性の差が個体差を生じさせる要素となっている。

理性の差は各個体が持っている知識の有無や違いによりもたらされます。 これは、個体の育った時代・環境・経験・得た情報(時系列によって差異あり)の違いによるものです。 また、所持している知識が同一である個体同士でもやはり人格は相違します。

これは情報を処理する部位(主に脳)の構造が同一の個体など存在しないからです。 特には、ニューロン・シナプスの配置や神経・化学伝達物質の種類や量,更には同一情報でも 伝達経路に差異がみられ、これにより合理的思考、条理的判断に個体差が生じます。 更に神経伝達物質と細胞伝達物質(ホルモン)は相互関係にあり体の各部位(主に第二の脳である腸) に影響を与え、交感神経・副交感神経の作用により思考に変化をもたらします。 また、外界の情報を受け電位の変化による電荷により各中枢神経細胞へ情報を渡す各感覚器官の構造にも 個体差があります。

これがクオリア(個体知覚の違い)の本質であり自己同一性 (アイデンティティ)根幹であるとも言えます。 端的に、人は各中枢神経細胞が保有する情報・知識(記憶)と情報解析能力(入力脳)それらの情報・知識を処理し 実行する各中枢神経細胞どうしの情報共有網(出力脳)に差異があることにより各個体の人格形成が成されます。

これらの事柄により1つの人格である1個体作り出されるが、これは自分とは同意ではありません。 自分自身・自我とは概念であり抽象的表現とも言えます。自分を定義するにはまず、自分を作っている構造を理解する必要があります。

自我と意識
第二節自我と意識

人は自身が自身を定義する尺度として意識を利用します。 かつて人は意識がありその意識により判断し決断し実行されていると考えられてきました。 ですが、現代の脳科学では否定されています。(特に神経伝達の速度による要因) 意識とは、自分の状態や周囲の状態を認識する能力の事ですがこれは思考・意志・決定には影響を与えません。 つまり意識とは思考とは同一ではないのです。

意識には2種類あり、観測器として顕在意識と実働する潜在意識あるいは無意識と言われる概念があります。 顕在意識とは傍観者であり、各中枢神経細胞で処理・実行された結果を観測しその観測結果もまた 各中枢神経細胞へデータ(知識)として送る事のできる枠組みの事。この顕在意識が個人が自分であると 認識している要因であり、自分は1つの意思により思考し行動していると誤解させる原因となっています。

この誤解の起因の1つに、顕在意識による潜在意識の予測性が挙げられます。 人の思考や行動は潜在意識により行われています。 潜在意識を掘り下げると、あらゆる種類の中枢神経細胞の複合体でありその多くは脳に集中しています。 各中枢神経細胞は1つ1つが独立して情報処理し信号を出し合うことにより身体は思考し決断実行に移ります。 常に潜在意識を観察している顕在意識は、潜在意識が保持する情報を基に思考や行動のアルゴリズムを見い出し これを顕在意識に投影する事により、人は自分が1つの意思による1つの個体であると認識しているのです。

要約すると、人には単一の自我はなく自我は多数の潜在意識で構成されています。 無論、人が自我として認識している観測器としての顕在意識の情報は、人の決断実行に影響を及ぼします。 ですが、身体機能維持を始め考えること行動することの根源は各中枢神経細胞が保有する情報が司る潜在意識であり、 人が自分と認識している顕在意識に決定権はありません。つまり自分・自我・自己とは細胞、特に情報の保存、処理、出力 ができる中枢神経細胞の集合体の事であると言えます。

人の思考や行動は個人が保有する情報に基ずき行われていますが、これは生命体の誕生と因果関係にあります。

大脳・間脳・脳幹・小脳
第三節情報による生命体

人を含めあらゆる生命体には先天的に備わっている情報を持っています。 1つの生命体を作るゲノム、各組織を作る染色体、各細胞を作るDNA、これらに書かれている情報 である遺伝子、これらの膨大な情報を有して1個体一人の人間が象られます。

当然遺伝子(情報)を含むDNAは初めから存在していた訳ではありません。 (以降相当量簡略化し記述しますので興味のある方は調べてみて下さい。遺伝学) 最初に原子同士が結合し自己複製体が創造されました。 自己複製体とは遺伝情報を保有する事ができ、これにより自己と同一の個体を複製する事が可能となった量子の集まりの事。 これら自己複製体は自然淘汰や情報欠如や情報変異を繰り返し現在のDNAを核とする 細胞が組織化されます。

この過程での絶対普遍的原理として自己生存や自己の継承が挙げられます。 地球の長い歴史の中で、生命を取り巻く環境や状態や状況は常に変化してきました。 これに対応する為に、優性遺伝や劣性遺伝、性染色体による伴性劣性遺伝や遺伝情報の変異などの遺伝子の多様性を用いて 生命体(細胞や自己複製体含む)は自己の生存と継承を行ってきました。現代動物や植物、人、鳥、魚など様々な生命体が存在 している事も、自己生存・自己継承の為に細胞レベルで遺伝子が多様化した事が要因であり生命体の思考・行動原理と言えます。

この過程から細胞レベルでの遺伝子は利己的であると言えます。その反面利己的であるが故に利他的になり得ます。 利己的判断を繰り返し行うことで、他の存在を排除しきれない状況に陥ります。 その結果、自己の利益のために自己以外に協力・共生ができます。(自然淘汰の確率を下げる為) 人の内部ではあらゆる種の細胞が自己利益の為に共存関係や相互関係を保っています。 これらの細胞に指示を与え統率する存在が中枢神経細胞です。

各中枢神経細胞は(各中枢神経系)ごとに異なる特徴を有しその特徴を活かす形で人体内で共存しています。 各細胞は神経伝達網とそれに流れる神経伝達物質を介し、互いの情報を共有することで細胞の集合体であり一個体である人を制御し 自らの生存や継承を行っているのです。また互いの情報を共有する事により、人に自我を認識させる顕在意識を生み出します。 これは、外界の状態や状況などの情報を入手する際に一翼を担っていて必要事項とも言えます。

神経系・伝導路
第四節思考・行動原理

人はそれぞれ違った思考パターンがあり違った行動をします。 思考を巡らせ行動する生物を知的生命体と呼びます。知的生命体以外の生物の行動原理は非常にシンプルです。 彼らは生命活動の維持と子孫の繁栄の為だけに本能に従い行動します。この本能とは遺伝子情報に組み込まれている 行動原理情報の事です。遺伝情報の中には物理的な生物の構造の設計図だけではなく、それを動かす心理的・精神的 情報、言い換えるとプログラムやソフトウェアのような情報も保持しています。

人にも無論本能は存在します。ですが、基本的に人は理性を持って本能を抑制し思考し行動できます。 理性とは、社会性を重視し合理的に判断し行動できるという事。嚙み砕くと前パート”情報による生命体” に出てきた、利己的思考を突き詰めれは利他的にならざる負えないという事になります。 この理性により人、ないし知的生命体はそれ以外とは違う行動パターンを見せます。理性にもグラデーション があり、大枠は大脳であり特に前頭葉の中枢神経細胞や神経接続の量や神経回路、更に神経伝達物質の種類や量により各個体で また乖離します。勿論、本能すべてが理性によりかき消されている訳ではありません。本能が保持している情報 もまた、理性の一部に組み込まれて人は思考・判断・行動されます。

この理性の根幹を担っている正体が各中枢神経細胞の持つ情報(知識)なのです。 人にはあらゆる欲が在ります。これら欲は人の行動理念であり人が人である根幹となる要素です。 欲は各中枢神経細胞どうしが互いの情報を共有し合う事により、現状を把握・理解し人の思考や行動を制御します。 その際、理性と言うフィルターを通す事により社会性のある1人格が形成されるのですが前記の通り、理性の根幹は 情報・知識でありこれらの有無や質や量により同個体でも違った思考や行動をします。

要約しますと、人とはデータそのものです。各個体が保有する情報(知識)が思考や行動の原理となっており 情報が人を作り出します。

情報が人であるならば情報を取り込むみ保管し出力する作業、記憶がより重要性を増します。 人が知識を得る為に行う記憶という行為は、自己を作るとも言えます。第二章では知識の構築や 構造など自己を構築する上での根本的な仕組みを明示いたします。

第二章自己形成

自己形成
第一節進化と記憶

前章では人は情報が全てであり、情報を記録し保存し出力する記憶と言われる動作がいかに人類に とって重要な行為かを明示致しました。(それぞれ記銘・保持・想起と呼称されています。) 現代の脳科学では、記憶には方法や仕組みにより様々な概念が構築されその1つ1つを階層構想・入れ子構造に する事により理解が進んでいる。簡単に説明しますと、記憶は短期記憶と長期記憶その配下には陳述記憶と非 陳述記憶があり、陳述記憶記憶にはエピソード記憶と意味記憶、非陳述記憶には手続き記憶や非連合学習など その働きや作用、方法や仕組みによりそれぞれが概念化され分類されています。

これは物理的には各中枢神経細胞の働き方に違いがあり、各細胞はそれぞれの特徴があり何らかに特化している為。 それぞれ似た特徴を持った中枢神経細胞は集まる傾向にあり、それを中枢神経系と呼びます。 特に記憶に密接に関わっている短期記憶や記憶の整理を行う側頭葉やその内部にある海馬と呼ばれる中枢神経系、 長期記憶を担っている大脳皮質と呼ばれる中枢神経系は、顕在意志を保つ上で非常に大切な箇所となっており この箇所を失うことは自我・自己を失うと言っても過言ではありません。

ここで大切な事は、中枢神経細胞を含め人の体にある全ての細胞はそれぞれ特徴をもち何かに秀でている事。 これは、前章での内容の通り遺伝子を含む細胞は利己的であるが故に利他的になる事と相関性があり、 人の中での共同体である細胞どうしは1個体である人を維持する為、互いに特徴をもち役割を分担した方が 都合がよく効率的であるからです。これを進化と言います。原核細胞が真核細胞になる事、脳が脳幹~大脳辺縁系 ~大脳皮質へと肥大化していった事、人間社会がそれぞれ役割(仕事)を分け時代が進むにつれその役割の 専門性が上がる事、全てが進化でありこの進化により人は利益を得ることができます。 進化とは具体化する機能や役割や作業の細分化の事です。

進化(細胞の特性化)を起こすためには細胞自体の情報(遺伝情報)を変化や変異させる必要があります。 DNAの中の遺伝子(RNAは除く)は確率は低いものの時に情報変異や情報欠如が起こります。これを遺伝子の 多様性といい環境の変化や状況の変化に対応するために必要な事であり、遺伝子の多様性があるが故に生物は進化 できます。人の記憶の構築・構成要素には遺伝子の多様性と進化が密接に関わっています。

遺伝する情報
第二節遺伝する情報

人は親から子へと遺伝子の情報が受け継がれ人類を進化させてきました。 その情報の伝達には人にある全23対の染色体の内1対の性染色体が重要な役割を果たし、それまで人類が培ってきた 情報を次へと繋ぐ橋渡し役として使われています。性染色体とは、女性ならばx染色体が2つ男性ならばx染色体とy染色体を 持ち、各性別ごと1つの染色体を出し合い子孫を作る為の遺伝情報を書き記した入れ物。その事から染色体の掛け 合わせ方によりまた、遺伝子の多様性が生まれます。また、この性染色体にはその個体に先天的に備わっている情報の他に、 その個体が後天的に備わった情報も書き記すことができます。

後天的に備わった情報とは、その個体の独自の進化の事。この進化はその個体独自の経験や情報により各細胞が独自に変異 出来る事を明示しており、人は知覚した情報を各中枢神経細胞に伝達しその情報を基に各中枢神経系が各組織に指示を行い ますが、その際細胞変異の指令も行えます。筋量(細胞量)が増したり神経系が発達する、これらは全て意図的に行えるが この意思は各中枢神経細胞の意思である為、自覚する事は出来ません。以上の事柄より、人の進化は人が自覚し行われている 事ではなくまた、人の置かれている状況や環境に大きく左右され次世代へと受け継がれていきます。

ここで前記した性染色体による遺伝子の多様性は人の進化において重要な要素なので少し補完します。 性染色体は女性ならばx染色体が2つ、男性はxとy染色体がそれぞれ1つ保有し互いに1つ出し合い子孫を残す事により 互いの遺伝情報を共有し多様性を生むことが出来ますが、それとは別の多様性も同時に生じます。 女性は2つのx染色体を同時に所有しているが、同系統のx染色体どうし互いに補完が可能です。その事により どちらか一方の性染色体は変異します。もちろん、もう一方の性染色体により補完されますので変異した内容は潜伏 し女性は発現しません。この変異した内容はx染色体を1つしか持たない男性に発現し、 これは遺伝子の多様性に加速性を持たせる1つの要因となり人類の多様性を増やす要素となります。

遺伝情報は細胞独自の変異、性染色体の存在(伴性劣性遺伝)、環境や状況による書き換えにより多方面へ向かい 人を多様に変化させます。人の記憶領域を構築・構成している中枢神経細胞もまた、人の環境や状況の変化に対応 するため進化を繰り返して来ました。特に著しく人に影響を与えたものが文字や言葉です。

言葉が人を作る
第三節言葉が人を作る

情報伝達手段として人は言葉や文字を獲得しました。現人類は言葉や文字を操ることにより、より多くの情報を得る事が 可能となったのです。情報量が増える事により、その情報を処理し保持する器官である中枢神経細胞もとい中枢神経系 は、遺伝子の多様性を軸として変容を繰り返し今現在の人間の脳が作られています。特に短期記憶を司る海馬や長期記憶 を司る大脳、脳内の情報伝達を潤滑に行うための脳梁や軸索など記憶に関わる細胞は、人と他の生物では特異と言えます。

その為、言葉や文字の構造と記憶の構造は相関性があり、言葉や文字へのの理解を深める事は記憶の理解更に知識(情報) が人の根幹である事から自己理解や自己制御、更に人類の発展へと繋がります。

言葉とは情報の伝達手段、つまり物事・事象・事柄を相手に伝える為にそれらの性質・本質・状態・形状・構成などの要素 を抜き出し概念化あるいは抽象化した物。これはあらゆる事に対して意味付けをする行為であり、意味付けする事により 人はあらゆる事に対して理解する為の尺度を得る事が出来ます。尺度が無ければ人は何も分からず思考する事は出来ません。

尺度とは物事を相対的に評価判断する基準であり基準を作る事により人は知識を得る事が可能となるのです。 基準を作る理由ですが、人もとより人類は何も知らない状態で生まれてきます。つまり、何一つ知識が無く思考の根源である 知識がなければ思考そのものが生まれない為。基準を作りその基準を他の基準と比べたり掛け合わせる事により新たな 基準を作る、このようにして人の知識は指数関数的な広がりを見せます。要するに、人には絶対的知識はもとより存在せず 相対的知識を繋ぎ合わせる事と知識そして知恵を獲得し、またそれと共に中枢神経、脳、人は進化をしてきたのです。

この過程から、言葉や文字は人どうしの情報共有を可能にして情報量を増やし、その事により情報の処理能力を上げるため中枢神経細胞の 量や回路が増加し現代の論理性・道理性を持った人を作ったと定義できます。また、知識の足りない人は道理的論理的思考 が欠如するとも言えます。

大切な事は言葉に意味があるのでは無く、あらゆる物事に意味があるから言葉があるのだと理解する事。これを理解しなければ 記憶の構造も理解できません。
言葉による尺度が生み出す人の知識やその知識の根源となる情報を処理する記憶の構造は、情報を与える側の言葉の特性上 同様になります。

自己形成
第四節本質的自己形成

言葉や言葉を象る文字は階層構造になっています。単一文字があり単語があり文章があり文がある文字、言葉もまた言葉の根幹である 意味の下に意味を作り、その意味もまた下に意味を持たせるといった入れ子構造の様なものです。前述した通り意味とは人が相対的 に物事を判断するための基準・尺度である以上、記憶もまた階層構造となっています。

人は最初から知識を持って生まれることはありません。知識は生まれてから記憶により後天的に備わるもの、つまり絶対的知識がありません。 故にあらゆる物事に意味付けをし、それを持って相対的に思考し判断する他無いのです。相対的に思考判断するのだから当然対象に対して 基準を設けるしかありません。意味から意味を作りその意味もまた新たな意味を生む、このように意味を繋ぎ合わせる事により人は 知識を増やしていきます。これを理論構築と言い、現代では意味(基準)の階層構造が肥大化してるが故に難しく捉えられている側面 もありますが、元をたどれば基準と基準のの積み重ねであり基本構造は至ってシンプルなのです。自己の中で理論構築を行う事により、自我 持つ一つの個体が形成されます。

自己の理論構築を行う上で最も重要な事は、自己の中だけで物事の意味・尺度・基準を設けるのではなく、現在分かりうる原理・原則 (根拠がある事実)を取り入れて思考する事。これ無くしては理性的思考、道理的判断、論理的考察は成り立たずそれは人としての社会性 や倫理・道徳を失う事を意味し、人としての定義から外れることになります。また原理・原則を取り入れる事と付随して取得情報の 信憑性・信頼性・確実性が重要性を増します。無論、絶対的知識が無い人類には真偽・善悪・良し悪しなどは相対的にしか思考判断出来ませんが、 この相対的基準が人に社会性を持たせ人に知識を与え人を進化させた根源となっている事から、現在知りうる原理・原則が人間社会における 理・真理・条理(普遍的事実・絶対的原理原則)である道理として認識する他ありません。

より正確な情報の取得には穿った見方と批判的思考を持って対象を認識する事です。要するに、物事の本質を的確に捉え多様的に観察 ・考察をして対象を計るという事です。穿った見方と批判的思考のできない人間は、誤った情報をより多く取得する事になり情報を基に 人が思考・判断・実行している以上、論理・道理・理性が欠落した人間となる事は明白な事であり、人間社会における排他的要因で あると言えます。

人の記憶による知識構造は相対的思考判断により成り立っている事が既成事実であり、これは言葉がもたらした人類の進化です。 人に記憶する能力、知識を積み上げそれを処理する事の出来る脳(中枢神経系)へと細胞変異する根源要素に言葉があり、これにより 人は文明を築き上げる事が出来ました。 その事から、人は言葉が司る意味そしてその意味が司る基準・尺度をより一層増やす事により豊かになり発展し進歩出来るのです。その過程に は新たな基準・尺度を作る為の理論構築とそれを実証するための科学、それらを利用するための技術が必要であり、この過程を行う為の最重要課題 や最重要事項として人の根源・根本となる情報・知識やそれを媒介する記憶の構造や言葉の意味内容の理解が必要なのです。

第三章自己構成

自己構成
第一節情報の取得意義

人の性格はその個人が先天的に保持している本能や神経系と、後天的に備わる情報による知識により構成されます。 この本能と神経系と知識は互いに相関関係であり因果関係でもあります。このうち人の顕在意識が関われるものが 知識であり、その知識の量を増やす事で人の行動や考え方は常に変化をします。これは人が知識を得ると共に 中枢神経細胞どうしの繋がりが変化する事(神経可塑性)、中枢神経細胞内の情報(知識)が変化する事により 思考し行動する根本要素の活動電位や化学伝達物質が変化する事によるもの。つまり人の知識欲がその個人を変えられる という事であり、人は自己の意思で間接的にではあるが人生を変化させる要素を生み出せる事と相関します。

知識は大きく分けて個人の環境や状況による経験と、自ら情報を得ようとする知識に対する欲に分かれます。 また、個人の環境や状況はその個人が持つ知識に基ずき判断されるものである事から、知識欲と経験は相関関係であり 因果関係であると言えます。ですがこれは成人や大人といった、ある程度の知識を有している者に当てはまる事であり 幼児期や幼少期頃の知識が乏しい子供には当てはまりません。つまり、自らの環境を選べない子供は育てる大人 の状態により多様に変化します。これは社会の不安定要因でもありダメな大人の定義は様々ですが、ダメな大人が ダメな人間を作り出す一番の原因である事は疑いようもない事実であり、この負の連鎖を絶つ事が社会の課題と言えます。 特に民主主義国家では、その自治の特性上ダメな大人の総量がその国家の不安定要素でもある事から喫緊の課題と言えるでしょう。

経験による知識とは、個人の五感などの知覚により得られる情報と、現状の環境や状況の時に思考した内容を記憶した知識に 分けられ、この知識もまた次の思考し行動し経験する事に活かされます。このように知識と行動は同一のものであり 経験による知識と知識欲による知識を掛け合わせる事で、人の判断・決断・実行の選択肢が増しその結果、個人の状態も多方面へ 変化させる事が可能となります。つまり、個人が持つ知識により環境が変わり、環境が変われば経験も変わる、経験が 変われば知識が変わる事の繰り返しで人生は作られていきます。この人生の流れの方に多大な影響を与える存在が 情報であり知識です。以上の事から、人は知識を欲する意思があれば自らの意思で人生を変化させる事が可能なのです。

情報取得原理
第二節情報の取得原理

人が正しい思考や正しい行動をする為には、いかに正しい情報を取得するかによります。 その前に一つ正しさについて定義します。本来、絶対的かつ普遍的な正しさや善悪・良し悪しは現在の人間には解りかねます。 それは人の判断基準が物事を相対的にしか判断できない事と同意で、人の正しさとはその個人が持つ知識に大きく依存しており 、個々による相対評価により正しさは変化するからです。ですが基より人間の本質的な正しさの定義は、人間が社会を形成する上で最重要要素 である物事の意味内容を定義する概念における原理・原則を忠実に守る事を意味し、これを理解する事が真の正しさと言えます。

個々によ正しさは様々ですが、普遍的に言えることがあります。それは個々が保持する知識が変化すれば正しさも変化する事です。 特に現代文明における科学社会では、めざましく様々な分野で新たな発見や過去の情報の誤りが証明され、それと共に人々の 持つ知識も加速度的に変化しそれに伴い正しさも多様に変化しています。ここで多様に変化すると表現しましたが、これは個々の 情報の取得方法や情報の取得意欲により乖離がみられる為です。

現代社会では科学技術の発展により、物事の新たな原理原則の増加や改変が目まぐるしく行われ、それを理解し認識する事は正しい判断や 正しい行いをする上で必須項目ではありますが、この原理原則の増加や改変に追従出来ず結果誤った思考や行動をとる人間が 後に堪えません。これは、情報の重要性を認識出来ずそれにより知識を得る事への意欲が乏しい事と因果関係にあると言えます。 また、IT(information technology)により様々な情報を得る事が容易になった現在その恩恵と比例して弊害もあり、これを 理解し認識する事が出来ず誤った思考判断に陥る人間も増加しています。

現代文明・現代社会において 知識が乏しい人間や誤った知識により行動する人間は、正しい人間社会を形成する上で障害となる事から排他する事が重要と なります。これは権威主義国家(社会主義国家・共産主義国家)や様々な体系の民主主義国家いずれにも該当する事であり、 正しい知識や情報を取得する意義を理解し認識する事がその国家の行く末を決定づけます。

情報取得の罠
第三節情報取得の障害物

情報の取得意義は情操教育もとい初等・中等・高等教育いずれにおいても教えられる事はありません。 これは、その地域の支配者層や既得権益者を始め様々な利権を有する者にとって都合の悪い事柄であるからです。 彼らは従順な労働階級を育てるための教育制度を施行しており、こと学習指導要領においての野蛮さや愚かさを人々は理解し 認識しなければなりません。現在の人間社会は経済により成り立っていますが金融の知識や経済の仕組み、それを操る政治家や 官僚への知識や認識が乏しい人間が多いこともこれに起因しています。

ですが現在における権威主義国家を除く民主主義国家では、支配者層や既得権益者だけが悪とは言い切れません。現在情報技術の 進化により誰でも有益な情報を取得可能となり、社会的に観て理性的でない支配者層や既得権益者は淘汰する事が可能となりました。 ですが、情報取得の意義を理解できない者が多く存在し弊害と成っている事により、無能な政治家や国家にとって有益でない政治家やそれに興じる経営者を暗躍 させる結果となり現在の状況・状態にを作り出しています。また、情報の取得意欲がある者でも情報の思慮分別が出来ない人間が 存在し、これは合理的でない方向へ国家を進ませる要因となります。ここで重要な事は情報の精査です。

情報の精査にはその情報の出処や所在を明白にする事が重要となります。情報の所在に近ずく程にその情報の精巧さが増し、また その情報が持つ本質を理解する事が可能となります。元来、WEBの登場以前の一般国民の情報媒体はマスメディア(新聞・キー局メディア) でした。これは国民は一次情報に近づけない事を意味しまた、情報統制により国民を支配する事も可能でした。これら旧情報媒体である 既得権益者たちは、情報の切り取りや改変、組み合わせにより世論を操作する事により政治を支配していたと言っても過言ではありません。 また彼らは、現在のIT社会においても情報弱者(情報取得方法に疎い人間)を目標にし世論の操作を諦めておりません。

本来のメディアの役割は正しい情報を正確に伝える事にあります。ですが、現在のマスメディアではその本来の目的を見失いあるいは 故意的に世論や民意の方向性を操作している事は既成事実であり、その存在は民主主義国家にとって害悪にしか成り得ません。 国民はこういった害悪な物に操られない為に正しい情報の取得方法を知る事が喫緊の課題であります。

抽象化手順
第四節正しい情報の取得方法1

正しい情報の取得方法の為にはまず、対象の言葉や文章の構成を理解する事が重要となります。これは単に基礎的な文法や文章の構造を 意味するものではなく最も核心的な要素である、対象には意思がありそれによって意志が生じた結果、言葉や文章には必然的に意図を伴う事を理解し考察するという事。 言葉や文章にはその全体が持つ抽象的な意味と、各単語1つ1つが持つ概念的な意味で構成されています。 人の思考と認識の特性上、全体像を抽象化が出来なければその抽象化に伴う対象が持つ各概念(意味)の相関性や因果律や関係性の 構造を理解認識する事は出来ず、それは自己の中で対象の理論は分解し再構成する事が不可能を意味し誤った情報や知識の取得へ繋がります。

つまり、対象の文章や言葉の持つ意味の全体像を把握した上で、1つ1つの文字や言葉が持つ意味に注視分解し てその意味と意味の繋がりや、意味と意味を合わせる事による生じる新たな言葉や文字の概念化・抽象化が論理上正しいかを考察 する事が重要となります。これは人が対象に事物を伝える際、その個人が持つ知識により文字や言葉が選択され組み合わせることで より多くの情報を持つ意味へと変化しますが、その過程でその個人の思想や理論や誤った知識も含まれていると理解する事と同意です。

人の物事に対する理解や認識は、その個人が持つ知識により相対的に解釈されます。それは言葉や文章がその個人が持つ観念により 成り立っている事と同一であり、その観念全体を自らに取り込む事は自我に影響を及ぼす事と因果関係にあり非常に愚かで危険な行為です。 故に他の情報を取り込む際は、言葉や文字の持つ意味を1つ1つの分解し自らで租借した上で情報のリファクタリング を行う事が正しい情報の取得法になります。当然ながら自らで情報分析や情報整理を行う為には、自らの正しい知識が必要です。

自らの正しい情報の保持には、自己の固定観念を捨て他から入る情報と自らが保持する情報を比較検討し論理的に思考する事が必要です。 つまり、自己が持つ知識が正しい知識だと思い込みするのではなく(固定観念を排斥し)常に自己を含め他の情報を穿った見方と批判的思考を持って 対象の概念や抽象の保持情報を精査考察するという事。これが実行できなければ正しい情報の更新が出来ず、時代錯誤や独善的な人間となりそれは人間社会に とって排他的存在となります。

摂理・真理・理
第五節正しい情報の取得方法2

前節では主に対外的な情報に対する対処法を明示しましが、本節では対内的な側面を解説致します。 人間は各個体それぞれ特定にの情報対し異なった感情を抱き価値観を持ちます。これは各個体のその情報に関連する知識がそれぞれ異なっている ことが起因であり、その要因は情報の取り込み方の違いである事によります。つまり情報に対する取捨選択方法の違いが各個体の保有する 知識の違いに繋がり、各個体の価値観の相違に至るという事。これは遺伝子の多様性を俯瞰して考察すれば主観的には評価出来ますが、社会性を重視し 進化を繰り返してきた人類の客観的評価では受け入れがたい様態と言えます。故に社会性を持ち理性的に生きたい人間にとっての情報の取捨選択は重要な要素となり得ます。

人は自然の摂理や真理(人が把握できない理)である万物に意味付けする事により理解を深め認識できます。これを道理といいこの道理を用いて思考・考察する事 を論理と言います。万物に存在する事実と結果を論理的に解釈し理論建てをし証明をして根拠を得る事を科学と言い、科学が文明を育むことそして人間社会を形成することに寄与 しています。正しい情報の取得には対象の道理と論理が正しいか(合理的であるか)、科学的解釈に筋が通っているかを見極める事で条理的思考判断に 至りより一層堅実な情報そして知識の取得に繋がります。ですが条理的思考判断するにあたり、人の認知には多数の情報がもたらすバイアスにより固定観念が生じさせる事も決して失念してはなりません。 人には相対的に物事を理解し認識している特性上、物事の絶対的な正しさ・善悪に関する知識は存在し得ません。従って人心が抱く個人の業に対する正しさ・善悪は時代や環境や科学の進歩により 常に変容を繰り返しており、それに追従することが理性的であり社会性を持つ人間を形成する事を留意させる事が重要となります。

自己の正しい情報の取得に重要な対象に対する合理的解釈と科学的解釈を掘り下げると、対象の事実と理論(思想)と結果と根拠がそれぞれ正しいか、堅牢な筋道立てが出来ているか を考察するという事。考察した上で各要素を自己の論理を用いて信憑性や信頼性を測り、その程度により自己に取り込む割合を決めます。ここで言う割合とは 対象の情報が持つ全体的な意味を自己の論理に組み込むか、あるいは自己論理構築の為に一部を参考にするか、または素材として利用するに値するものなのかを思考判断し、情報の精査をした 上でそれぞれにグラデーションを付ける事(段階付け)を意味します。情報はたとえ粗悪な物でも各々の価値があり、いかに正しい情報を取得更新できるかは自己の 論理能力次第であり、それにより対象の情報の価値もまた変位します。より簡潔に正しい情報の取得方法を言いますと、個人が持つ論理能力次第でその正しさ・その価値が位置づけられ る事から、自己の論理構築を堅実に行う事で正しい情報の取得が大成されます。

第四章自己確立

脳の情報処理
第一節欲と自我

本題の前に顕在意識の所在や存在意義について明示致します。 顕在意識は生命維持活動や継承の為に外界の情報を知覚し認識する媒体として存在しており、存在意義の最大 要因として他の生命体への危険予知や予測が挙げられます。つまり想像が得意な中枢神経細胞の集まりであり、 これは中枢神経系の進化発展と共に備わった能力でより多くの神経系を備えた生命体に顕著に現れます。 それが適わない生命体は顕在意識を持ち合わせてはおらず、潜在意識(本能)が行動原理の全てです。 顕在意識はその発生成り立ちの経緯から潜在意識の配下であり、最終意思決定権は潜在意識に存在しています。

人は物事を記憶(主に側頭葉)により各知覚情報を処理し認識している。その認識情報と現状の知覚情報を 前頭葉で処理する事で人は思考判断が出来る。顕在意識も前頭葉で生み出されるが、潜在意識下で思考判断された 内容を顕在意識に投影するまでに約0.3秒時間がかかる。つまり、自我(顕在意識)が思考判断しようとする約0.3秒前には 無意識(潜在意識)が既に思考判断しているという事であり、数々の科学的実験においての既成事実がある以上顕在意識 は思考判断実行において直接的影響を及ぼさない事を意味している。ですが前頭葉が情報を処理した結果や過程 の観測情報や前頭葉の判断による行動の結果や過程の観測情報を、記憶の中核である側頭葉に渡すことにより 新たな情報の獲得に繋がる事から顕在意識の役割は大きい。 要約すると、人の顕在意識に直接的な意思決定権は無く、各中枢神経細胞やその集合体 である灰白質(神経系)の保持する情報により人は行動します。従って、自我(顕在意識)により思考判断の方向や志向を 完全に統制する事は出来ませんが、顕在意識と潜在意識の情報のやり取りの中で灰白質の情報更新が行われる事により 人の思考判断の方向性や志向性を徐々に変化させる事が可能となります。

潜在意識の本質は欲です。顕在意識下で自己の制御を行う為には欲の本質を理解し欲を操る事が重要です。欲とは 抽象的には生命維持活動や自己生命体の継承であり概念的にはそれを行う為の各種手続の事を言います。この各種手続き には睡眠欲、食欲、支配欲、性欲などの人が定義した多様な欲がありますが、その本質は灰白質が顕在意識の情報 を参考に自己の状態や状況を把握し、次の行動を起こす為の活動電位や化学伝達物質(合わせて神経伝達物質)を発生させる事にあります。

化学伝達物質はアミノ酸、ペプチド類、モノアミン類など機能的分類により概念化されています。中でもモノアミン類 に分類されるノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンやアミノ酸類のγ―アミノ酪酸、ペプチド類のβエンドルフィン などの興奮性伝達物質や抑制性伝達物質の作用は人間の意思決定(感情)を左右する重要要素です。 これら化学伝達物質は各中枢神経細胞の保有している情報と相関関係にあり、保持している情報を基に化学伝達物質の 量や種類が決定されます。またそれらの起源となる活動電位の方向性は、各中枢神経細胞を繋ぐ(正確には繋がっておらず、シナプス前後細胞 により情報伝達する)軸索の量や繋がり方、各中枢神経細胞の保有情報によりが個体ごとに相違しています。それは個体同士の保持している情報が同一な物 でも違った思考判断に至る事を意味しており、このような細胞の振る舞いを神経可塑性と言います。この神経可塑性により 人間は多様な思考判断を持つ知的生命体に進化して来た経緯から、得られる情報により人は多様に変化出来る事を 示しています。

つまり得られる情報を自我で意図的に操作する事で、自我の意向に沿った形で細胞内の情報が変化する事。それに伴い 化学伝達物質の変化や神経可塑性が伴う相互作用により 人は自己の真価を信じる事が出来ます。

中枢神経細胞・シナプス
第二節自我と心

現人類には心と言われる非常に大きな枠組みで抽象化された言葉が存在します。心には精神や意志や感情など非科学的であり 曖昧な様々な抽象的概念がありますが、各概念を機能的分類や解剖学的分類に分ける科学的な観点により理解が進んでいます。 現時点での科学的解釈による欲と心は同一の物であり、中枢神経細胞の保持情報と神経伝達物質の種類や量の事それらを媒介 する軸索の様相や変容により生じる思考判断の結果です。(これを心と定義します)

心は各要素どうしが相関関係であり因果関係にある事から急激な変化を好まずまた、そのような状況に陥った場合(主に外界 からの刺激)ゲシュタルト崩壊・精神崩壊に繋がります。それは人の記憶の原理ともまた相関性があり、一度に物事を覚えら れない事や1つ1つの物事を 段階経て理解しないと物事を認識できない事など、情報に関する事には特に顕著な反応を示します。 その理由は明瞭で、人の自我を作り出している根幹が潜在意識でありその根源である中枢神経細胞の情報に変化を与える事は 自我を変化させる事と同意だからです。その為各中枢神経細胞は、自我への認知の確保の為に自我構築に関するの情報の更新や保全 に努めます。この情報の保全や更新する為には、神経可塑性や細胞間の情報移転する為の時間的猶予が必要であり これを違えれば、自己は自我の認知が出来ずそれは自我の崩壊を意味します。

その他に、潜在意識の本質である心に反した行動や情報の蓄積を時間的猶予を考慮せずに行えば、化学伝達物質の生成が追い付か ない(俗にストレス)事によるうつ症状や自律神経失調症など様々な症状が現れます。 また心に反した中枢神経細胞の生成や変異に伴う自己体内での中枢神経細胞どうしの対立(多重人格・記憶障害・意識障害等) を生み生命維持活動の継続を脅かす結果となります。

人もとい生命は、利己的であるが故に利他的な共存を選んできた者が遺伝子の多様性間での排他的競争を生き抜いてきた経緯から、 (第一章第三節)人は傲慢であってはなりません。人には約60兆個の細胞(血液内含む)がありその一つ一つが自己を支える共存関係にあり、 まして元々一つの細胞から分裂を繰り返し自己を組織しており人の自我を象る細胞はその一部にしか過ぎません。 他の細胞を尊重し考慮した上で自我の意向を合わせる事が、自己を上手く操る最適な方法なのです。

細胞単位の人間構造
第三節自己と自我の可能性

人は潜在意識の性質上、受け入れ難い情報を灰白質に取り込む事は出来ません。これは固定観念とも言われる概念で 自我を保護する為の仕組みであり、それは自己にとって善にも悪にもなり得ます。前節までは主に心(欲)に関する基礎知識 とその本質、顕在意識が心に与える影響を明示しました。本節からは潜在意識が顕在意識に与える影響やその本質、性質と その扱い方について触れていきます。

そもそも潜在意識とは自覚できないすべての領域の事を言い、その内後天的に備わる情報(記憶)が自己の状態を決定づける 一番の要因です。 人が情報を入力し保持し管理し出力するといった一連の行為は、対応している小脳や視床や大脳辺縁系や側頭葉 などの灰白質(中枢神経細胞の集合体)が行っている事であり、それに顕在意識を司る前頭葉(大脳新皮質)が関与する事はありません。 つまり人間は自我により記憶から特定の情報を抜き出したり保存したりは出来ないのです。

顕在意識は現在の自己の状態や状況を把握し情報を各灰白質に渡すことにより、大脳基底核では行動に必要な指令を更に配下 である末梢神経系へ出し、側頭葉では思考に必要な情報を前頭葉に渡すことにより人間の思考判断実行が成り立っています。 (聴覚・視覚・体性感覚など頭頂連合野からの情報も入力される) ここで特に重要な事は行動を起こす基になる前頭葉の処理情報を、各灰白質に渡すやり取りは速さが求められる事から前頭葉のもう一つの役割 である顕在意識への処理結果の投影は、各灰白質へ処理情報を渡した後になる。 この結果から顕在意識が潜在意識を超越する事は不可能であり、自我が自己に変化を付ける事を望む際には望む方向に対する 情報の取得と環境を作る事で望む結果に至る確率は増します。

結論、自己とは外界からの情報と記憶されている情報からなる情報を保存する為のハードウェアであり、自我とはその情報を 活用する為のソフトウェアです。ハードウェアは物理的な物である為現実世界の三次元を超越する事は不可能ですが、ソフトウェア はプログムと同様に多次元に方向性を作り出す事が出来ます。その為には選択と集中です。 情報量を高め想像を膨らます事で人間の可能性は無限大であると言えます。

知識の拡張
第四節記憶の原理

実は人の物事に対する思考判断実行の仕組みは、その素材は違えどもパソコンやスマートフォン等のデバイス(情報処理装置) と本質は同一です。情報処理装置の仕組みを大枠で分類すると、入力計算出力をする装置(トランジスタ)と 記録媒体(ハードディスクやフラッシュメモリ)に分けられます。トランジスタ(多種在り)により内部に流れる自由電子を 操り、記録媒体により自由電子のパターンを記録しそれに意味付けを行う事により端末の動作を可能にしています。 人ではトランジスタに当たる場所が各神経系の中枢神経細胞であり、記録媒体にあたる場所が側頭葉の灰白質を 主とする記憶に値し、その処理結果を端末に当たる末梢神経系により四肢の動作を可能にしています。

人は外界からの情報を認識し判断する為には、対象に対する記憶を基に判断しています。 そもそも記憶とは情報のパターンを概念化させ意味付けする事により、情報そのものが保有している本質や 内容を理解し認識し保存する能力の事。その本質や内容を外界からの情報と照らし合わせて自己の思考判断に至ります。 これは情報処理装置で言う所のプログラムを組み入力される内容により処理方法を変える事。

情報のパターンとは、外界からの知覚情報により生じる脳内で走る神経伝達物質がどの中枢神経細胞のを経由するか、 その際に発生するシナプス受容体が得られる化学伝達物質の種類を特定したもの。 この特定したもの1つ1つを外界からの知覚情報と関連付け意味付けする際、神経可塑性により新たな意味内容を保持した 神経回路(主に側頭葉の灰白質)が発現します。これが記憶の発現原理であり、人は今現在の知覚情報を過去に発現した 神経回路が持つ意味内容と照らし合わせを行う事により物事を理解し認識し思考判断実行に至ります。これは磁性体を扱う ハードディスクや電子を保存しておくフラッシュメモリなどの機械的記憶媒体と抽象的(本質)な要素は同一であるが 概念的(具体的)要素は異なっており、人の記憶はデジタル的ではなくアナログ的であると言える。

つまり機械的に記録を一斉に消去改変追加をするのではなく、原子・分子の真理の下(自我によるものではなく自然の摂理 によるもの)段階的に柔軟に記憶が変化すると言う事。これは人類にとって一長一短であり、人の思考判断基準である記憶により 善悪・是非を決める道徳の基となる道理が各個体ごとに乖離が観られます。それは個体ごとや所属する共同体ごとに観念形態 が異なる事を意味しており、良く言えば多種多様な柔軟な社会、悪く言えば固定観念だらけの共存共栄の真意を理解認識できない 統一性の無い社会。人類の歴史上、各個体の道理への認識が一致した収束点にのみその真価を神秘に示す事が出来た。 人は知的生命体と呼称されその本質は理性ですがその根源の道理を理解し認識する事が適わない場合、自己の欲を 辺りにまき散らすただの動物です。人と呼ばれる為には正しい道理を理解認識する事、それは正しい情報(知識)を自己に 取り込む事と同意でありその努力を決して惜しんではなりません。

特別章生命の基礎

序文

物質、生命、人間全てが下図の原子もとい量子から作られています。量子や原子の性質や特性の原理、 人知を超越した真理に基づき自己・自我・思考・行為が決定されます。現在、定性的科学(マクロな現実世界) から定量的科学(ミクロな現実世界)に発展進歩、つまり抽象的道理(本質的)から概念的道理(具体的) に移り変わり多種多様数々の道理が人類にもたらされています。 人は正しい道理を取得する事でのみ正しい理性が保たれます。正しい道理を得る事を怠る事は不合理であり不条理な事なのです。

素粒子 周期表
量子構成・量子原理
第一節体と量子

人を含めあらゆる生命はエネルギーや物質の移動を繰り返す事で生命の維持や活動を行っています。 分かりやすく言えば、体組織の維持の為に食べて消化しビタミンやミネラルやアミノ酸、活動エネルギーを作り出す為の糖やリン酸 呼吸による酸素を体内に取り込む事により生命の維持継続を行っています。 これら全ての根源は物質(エネルギー含む)の最小単位である量子で組織されており、この量子の道理を 知る事は自己を知る事と同一です。

量子とは素粒子とエネルギーの総称であり、素粒子とは物質の根本構成要素クオークとレプトン、その素粒子を 繋ぎとめるエネルギー媒体としてゲージ粒子やヒックス粒子が存在します。クオーク(k)はアップk・チャームk・トップk、 ダウンk・ストレンジk・ボトムk、レプトンはエレクトン(電子)とニュートリノで構成されており 、地球上ではアップkとダウンkの組み合わせによる陽子と中性子からなる原子核と電子により 原子が構成されています。そこで特に注視するべき点は原子核の陽と電子の陰のつり合いであり、 原子は常に安定を求めている性質上原子核の陽子と電子の割合により(価電子の数に応じ)、 他の原子との結合が起こる。これが分子と呼ばれるものであり、原子の結合されている種類や結合の配置により様々な種類の分子が 生み出される。

そして、クオークとレプトンを繋ぎ留める役目にあるゲージ粒子にはフォトン(光子)・グルーオン・ウィークボゾン・ グラビトン(重力とされるもの)と光子を除く全ての量子(原子や分子)をその場所に留めようとする力 のヒックス粒子などの全ての量子の相関関係により、万物の性質や事象や事柄が決まります。

無論人間ないし生命体全て、上記の仕組みに組み込まれている以上その仕組みを理解する事が重要であり 道理です。理解するとは人が便宜上付けた言葉や文字を覚える事ではなく、その言葉や文字が意味する 内容を認知し全体像を認識する事です。

量子の世界はまだまだ発展途上であり物理学では古典物理学(ニュートン力学・相対性理論)を発展させた 量子力学、数学では量子を粒ではなく紐として扱う超弦理論で科学的解釈を得ようとしています。 このような科学を扱う者を育む事が人類の進化・発展に繋がり更なる神秘に辿り着ける正しい筋道と言えます。

量子・斥力・引力
第二節量子と真理

万物には陰と陽が存在します。プラスマイマス・N極S極も同意ですべて量子のスピン(回転)に起因しており 、人間の体もとい生命体は粒子量子原子分子結合による食べ物・細胞・エネルギーの生成に陰陽が相関しており その恩恵を授かっています。 これは物質的な物に留まらず、見たり聞いたり嗅いだりする為の粒子が起こす電場と磁場による電磁波の恩恵も 壮大であると言えます。例えば、太陽が発生しているガンマ線やX線や紫外線は地球を温め生命の源ともいえ、 太陽を含め原子の結合が解けた際に生じる光子による可視光線は物質を認識する際の要とも言え、赤外線や 電波は現代文明を築く基礎です。

つまり人間は思考判断実行する際、常に陰と陽を意識し論理的かつ道理的に生きる必要があります。 陰陽を意識するとは、自己は万物の真理の一部に過ぎず万物は常に相関関係にあるという事。 人は理性を持つ代償に傲慢になり自然の摂理に反する思考や行動を取る個体が後を絶ちません。 遺伝子の多様性での視点ではそれは寛容ですが、自然の摂理の視点から見れば排他対象に過ぎずいずれ淘汰されます。 人は道理を理解し真理を認識する事で深淵なる神秘に授かれるのです。

自然の摂理の上での人間は、他の生命体(主に細菌)を含め自己の細胞の遺伝子を継承する為の乗り物であると言えます。 その為に自己の利益を重視し、自己を軽視する傾向にありその考えや行為は浅はかと言わざる負えません。 自己の利益をミクロな視点で見るのではなく、俯瞰した観点から全体像を想像しマクロな視点での考察をする事により 自己の利益の最大値を取る事が出来ます。これは言い換えれば利己的を凌駕した利他的な存在になる事が 究極の利己であり、因果応報の福音に授かれるという事。

原子・分子・高分子構造
第三節真理と共生

自己の体は自己の細胞だけでは維持継続は出来ません。これは人間は社会を形成しなければ各個体の維持継続が困難 となるという事と道理で、体内では自然の摂理に忠実である細菌が人の生命活動に協力共生し人はその恩恵を得ています。

人体は他の微生物やウイルスから個体を守る為に先天的に存在する自然免疫とその個体の環境により後天的に備わる 獲得免疫が存在しその獲得免疫の為には腸内細菌が生成する探査脂肪酸が重要な役割を持っています。 また細菌は上皮組織の最上位にも存在し上皮細胞を保護しています。(裂傷除く) そして人体の維持継続に最重要なビタミン・ミネラル・アミノ酸・糖等の無機物や有機物の人体への取り込みには、 腸内細菌が必要不可欠であり、腸内細菌が無機物や有機物を分子レベルあるいは原子レベルまで分解し人は生命の 維持継続が可能となるのです。

もう少しミクロな視点からの道理を示しますと、万物には陰と陽があると前節で明示しましたがその本質の斥力と 引力にも道理があります。こと原子の世界では原子同士の結合の為に、価電子の数が重要な要素となります。 量子ないし原子は安定を求める事が原理原則の為、陽子の数(陽)と電子の数(陰)が常に一定になろうとする 引力が働きます。しかし原子核より最も遠い殻を周回する(量子の不確定性原理により確認出来ないが理論的科学的概念) 電子は、他の原子の引力により元々の原子を離れる場合があります。この電子の事を価電子と言い、価電子を失った 原子は他の原子の持つ電子を取り込もうとしますが原子と他の原子の価電子に対する引力に釣り合いが取れた時、 原子同士は価電子を共有する事で原子の不安定を解決しようとします。これが原子結合による分子の発生原理です。 分子もまた同じ原理で結合を繰り返し、様々な物質を構成し万物をマクロな方向へ向かわせます。

人体の根本は有機物です。有機物とは価電子が最も多い炭素原子(多様な分子を生成可能)から出来ている分子や、 分子と分子の結合により組織されている物質の事を言います。この有機物を体内に取り込む行為が食事であり、取り込んだ 有機物をエネルギー(ATPの生成)に変換させる為に必要な酸素を取り込む行為を呼吸と言い、当然ではありますが食事と呼吸 をする事で人体の維持継続を行っています。無論水や亜鉛やマグネシウムなどの無機物(炭素結合なし)も、 取り込んだ有機物の分解や再合成、神経伝達物質の形成など有機物と化学反応を起こし生命の維持継続には欠かせない 分子ないし物質を作り上げる事から重要な要素と言えます。

このように人体を維持継続に必要な素材を、有機物や無機物の原子結合を解き体内に吸収されるレベルまで分解して くれる存在が腸内細菌であり、これを無下にする事は傲慢であり真理に反します。

共生と道理
第四節共生と道理

人がその小さな視野で測れるものはごく僅かです。 人以外の生命体は共存関係を理解し共生を望む事で自己の保存や継承を行っています。 勿論、最低限の殺生しますがそれは本能に記されている遺伝子の情報によるもので、自己の保存や継承の為の必要事項。 人の持つ理性は本来道理に従い行動をする為に備わった能力ですが、その道理を理解し認識出来なければ本末転倒。 人以外の生命体は自己の保存や継承の為だけの欲(心)しか存在しないが、人は自己の保存や継承の為の衣食住を大脳の肥大化(理性)により 容易にしてきた。その為衣食住に係るエネルギーのコストを低減した結果、余剰のエネルギーで生じさせたものが 多種多様な欲(心)であり現代人類はその欲を制御しきれていない。これは万物に対する道理が理解認識できる前に 、誤った道理を持った理性が肥大化した結果と言えます。

繰り返しになりますが、人は傲慢であり利己的な生き物です。 無論個体差は在りますがこれは詰まる所万物への認識の差であり、その根幹である万物を認識する為の道理が理解できていないことに起因します。 万物1つ1つの道理をミクロな視点で概念化させ理解した上で、各道理を俯瞰したマクロな観点から抽象化させ 道理1つ1つの相関性や因果性、相互性を理解しその関係性を構築や再構築を繰り返す事で人は正しい道理を得ます。 この道理を理解している個体ならば傲慢であり利己的な個体にはなり得ません。

要約しますと、小さな認識から大きな認識を創造し、その関係性を構築するという事。 もし小さな認識での万物への理解が誤りであるならば、その個体がもつ認識全てが誤りでありそれは その個体そのものが自然の摂理から外れた無価値な存在であると共に排他対象となり得ます。

人間は万物と相関関係にあり、様々な数々の恩恵を授かりながら生きています。 ですが人間が理解し認知し認識している自然の摂理・真理はごく一部に過ぎず、その為その恩恵を認識できず理性と比例して 傲慢性や利己性が高い個体が増殖を続けており、これは条理的観点から許し難く現代社会においての喫緊の課題です。 現代文明では科学により真理への理解認識を進め、深淵なる神秘に触れる事でその恩恵に賜ろうとしています。 その恩恵に賜る為には万物を尊重し、万物に対する真理への知的探求心を高め論理的な尺度で理解し科学的解釈の下、原理を 認識する事が道理となります。

後書

当サイトでの内容は原書第1部を短く簡潔に再編集したリマスター版の為、表現や内容が分かりにくい場合がございますがご了承ください。 また、当サイトでの反響次第で第二部の公開も検討しています。twitterLogo ==意見・見解・感想を送る== 日本ムスリム連合会では同様の道理を共有する共同体や同志を募っています。当団体では思想活動は非営利を是としている為、金品等の 授受は一切発生致しません。同道理を通じ社会の情操教育が活動主体となっており正しい道理の下、正しい道徳観倫理観を養いひいては 正しい社会形成や社会発展を目的として活動しております。同道理に思想を同じくする方、理解を示す方、協賛して頂ける方 はご連絡賜りたく存じます。

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